北京國立競技場は、2008年オリンピックにおける最も印象に殘る建造物として世界中に知られています。この建物のダイナミックな形狀と巨大なスケールは、中國および北京に新しいアイコンを創出しました。
スタジアムの円形の建物形狀は「天」を意味しており、隣接する、やはりアラップが技術設計を擔當した北京國立水泳競技場の正方形は、中國では「地」を意味しています。
このスタジアムの構造形態は中國陶器の「ひび焼き」から想起されたものですが、一般に「鳥の巣」と表されています。一見ランダムにも見えるそのパターンは、高度な幾何學による複雑なルールに基づいています。
無駄のない最適なデザインを実現するために、座席のあるお椀形部分がそれを包む外周部と共に最初に計畫されました。設計においては全ての観客が競技をできるだけ近くで、かつ視線が確保されるよう計畫がなされました。
北京は世界でも有數の地震活動域にあるため、アラップは高度な耐震解析技術を駆使して、さまざまな條件の地震に対するテストを行い、大地震に耐えうることを確認しました。
利用者を重視した設計
このスタジアムは特異なデザインを有する建築というだけでなく、観客の體験に関してグローバル?スタンダードを構築しました。利用者を重視した設計を行うことで、最適な視界、快適な座席、そしてスポーツ観戦を最大限に楽しむことを実現させました。
スタジアムの雰囲気を壊すことなく、素晴らしい経験を観客に提供するために、屋根は上面がETFE(高機能フッ素樹脂)のパネル、下面が吸音膜で覆われました。
さまざまな競技に合わせた観客の視線の確保が、設計上、重要な課題でした。陸上競技において最も重要となる視線はゴール付近ですが、スタジ アムでサッカーが行われる場合(オリンピック後の用途の一つ)に重要な視線はセンター部となることにも配慮して、アラップは設計を行いました。
この巨大な構造物の複雑さに配慮しながら解析とモデリングを活用し、観客の眺望確保に重點をおいて設計を行いました。いかなる場面?角度においても、観客席からクリアな視線を確保することを可能としました。


スタジアムの円形の建物形狀は「天」を表す