新千歳空港國際線旅客ターミナルビルは、近年のアジア圏を中心とした外國人旅行客に対応するため、北海道の玄関口として計畫されました。外國人旅行客が利用しやすく、ホスピタリティの高いサービスの提供が可能な空港となっています。アラップは設計JVの一員としてこのプロジェクトに攜わり、主にファサードエンジニアリング業務を擔當しました。
本施設は、移動の少ない動線を実現するために、前面道路の上部をまたいで施設が配置されています。2階に入國審査場や稅関検査場などの到著施設を、3階には出発施設を集約し、利用者がスムーズに移動できる施設となっています。利用者が集中しやすい3階は、サスペンショントラス構造による46mの大スパンを実現し、余裕のある空間となっています。このトラスには、高効率反射ミラーを設置し、光源からの反射光を利用した照明計畫となっています。反射ミラーを用いることで天井照明を削減し、光源のメンテナンスを容易にしています。
ファサードは、平行四辺形のユニットカーテンウォールを斜めに積み上げています。主構造のX形柱とカーテンウォールの割付を一致させ、構造形式の特徴を外観にも表現し、外裝用2次部材を無くした合理的な構成となっています。また、トラスの頂部にはトップライトが設けられ、ファサードとともに積極的に自然光を取り入れています。日射を制御するロールスクリーンも特徴的で、三角形のロールスクリーンがファサード中央部より上下に開閉します。快適な旅を演出する施設として、個々の技術要素をさりげなく統合し、明るくゆとりのある空間を実現しています。