アムステルダム市立近代美術館は、美術界におけるその重要性を取り戻すべく、改修?増築プロジェクトを行いました。
既存美術館の復元
既存美術館改修の出発點は、その最大の特徴であるA.W.ワイズマン設計のネオ?ルネサンス様式を表出させることでした。荘厳な階段やインテリア、自然光のデザインなどで知られるこの建築は、竣工後何度か改修が行われ、中間階の増床なども行われていました。今回、これらの床は取り除かれ、當初のデザインが甦りました。それと同時に、新しい展示室との間をつなぐブリッジが設けられました。
アラップは構造エンジニアリングおよび照明設計、美術品のための自然光対策のアドバイスを擔當しました。照明計畫で重視されたのは、自然光が敬遠されがちな美術館において、いかに多く自然光を取り込むか、ということでした。
宙に浮いた構造體
ベンサム?クローウェル?アーキテクツによりデザインされた増築部分は、地下構造とその上に浮かぶソリッドな上部構造で構成されています。1階はガラスで覆われているため、上部構造はまるで“宙に浮いている”かのように見えます。浮かんだ構造體の下から、ガラス越しに既存の美術館を覗きみることができます。
その1階部分にはインフォメーションセンター、図書館、ショップ、レストランが配置されており、美術館の新しいエントランスとしての機能も擔いっています。
6か所の支持點
浮かんだ上部構造の內部は2層に分かれており、下層は巨大な展示空間とホール、上層はオフィスとなっています。大きく張り出したキャノピーは、ちょうど既存建築の樋の高さに位置しています。
この “バスタブ”は、驚くことにわずか6か所で支持されています。ファサードの中に仕込まれた巨大な鉄骨トラスが、5本の柱と1枚の鉄筋コンクリート壁だけで支持するという構造を可能にしました。このソリューションによって、大きく開放的な展示空間が生まれました。アラップとベンサム?クローウェルが協働したことで、支持點の位置やトラスの位置など、構造的に最適な設計が実現できたといえます。