神戸?六甲山上に立つ、自然體感展望臺「六甲枝垂れ」は、「建築は地球の一部である」という、建築家?三分一博志氏のコンセプトのもと、大阪?神戸を一望でき、全國に名高い景観を望むだけではなく、訪れる人が、六甲山の自然のエネルギーやその循環がもたらす変化の美しさに觸れる場を提供しています。
アラップはコンセプトデザインの段階から設計に參加し、本プロジェクトのジオメトリック?エンジニアリング、構造設計および環境コンサルティングを擔當しました。
展望臺の室內環境は、四季を通して自然エネルギーを利用しています。
エナジースケープを體感できる建築の実現
六甲の自然美をゆるやかに內包する展望臺には、毎年約10萬人が訪れています。その場所にある自然エネルギーをパッシブにコントロールした空間を體現しているのは、展望臺の地下に設けられた氷室です。冬の間、アプローチ脇に設けた氷棚でつくられた氷は、夏までの期間この氷室で保存されます。そして夏期に訪れた人たちは展望臺中央の風室で、氷室から流れるひんやりとした空気や冷水を楽しむことができます。また、六甲は美しい樹氷で有名な場所でもあります。冬には、ドームのメッシュフレームが、繊細な樹氷のように無數の氷霜に覆われる様子を見ることができます。
プロジェクト概要
16m ドーム直徑
10萬人年間來館者數
四季折々の自然美を體感するドーム空間
展望臺は、枝垂れをイメージした直徑16mのドーム狀のメッシュフレームに覆われています。このドームは、高度な加工技術や特殊な接合器具に頼らず、ステンレスパイプとヒノキの短い枝材を、人の手で編むように組むことで自立しています。それぞれの材をずらして重ね合わせることで連結し、相互に支え合って、空間を生み出しています。
そして、フレーム面があらゆる方向へ凹凸に組まれ、空中に印象的なオーガニックなボロノイ形狀を形成します。このボロノイ形狀に粗密の変化を持たせることにより、ドーム內環境を六甲の自然と切り離すことなく、光、空気の流れ、氷霜の訪れをゆるやかにコントロールしています。
山頂ならではの気候條件により、繊細に移り変わる自然の景色と、その魅力を體感することができます。
相互に連結かつ自立する
「シフトフレーム構造」を実現
展望臺をドーム狀に覆うメッシュフレームの実現には、複雑な3次元形狀を定義し、構造解析を行う高度なプログラミング技術が必要でした。意匠性を尊重した上で、構造?環境の両観點から建築の性能を高めるため、アラップは獨自の構造プログラムを開発し、最適な形狀を追求しました。施工段階で必要になる各組み立て部材の長さと、接合點に関するジオメトリ情報は、3Dモデルから抽出することによって製作図を必要とすることなく施工者との情報共有を可能にしました。


「六甲枝垂れ」は景観を望むだけではなく、訪れる人が自然エネルギーとその美しさに觸れる場を提供しています。 ©Sambuichi Architects
受賞歴
第3回 神戸市都市デザイン賞 まちのデザイン部門 景観?ポイント賞